その昔、悲惨な事件に巻き込まれ、視力と聴力
そして最愛の人を失ってしまう。
目も見えず、音も聞くことすら許されない状態にも関わらず、
それを全く思わせない程の剣術の達人である。
彼は空気の流れ、音の振動さえも身体で正確に感じ取ることができ、
相手の位置や動作も読み取ってしまう。
又、並外れた運動神経によって、
いかなる体勢からも剣技を繰り出すことができる。
人の言葉はかなりの神経を集中しても、
完璧には読み取ることは出来ない。
それ故か、自信も多くを語ることは無く、最低限しか口にしない。
剣術は 名も無い師から伝承されたものに、我流の剣技を加えたもの
今ではその師のことを知る者は、カシオーン本人のみ。
現在はとある目的の為、数人の仲間達と共に旅を続けている。
仲間達は種族こそ異なる者が多いが、
皆カシオーンを強く信頼しているようだ。
残された嗅覚と、他者から見て並外れた能力で、
本人は左程不自由はしていない。と語る。
しかし、過去に最愛の人を失ったことを 今でも忘れ去ることが出来ず、
その時の記憶が、彼に心の安息を与えることは無い。
仲間達にも、時折このことを気にかけられるが、固く否定する。
獣人は寿命が不定な為に、人間と同じ位の者も居れば、
20代に達していなくとも、亡くなってしまう者、
数百年もの長い年月を生きる者さえ存在するという。
肉体の成長速度も 当然大きな違いが見受けられる。
種族差もあるが、個人差が一番大きいようだ。
カシオーンの場合、現在の肉体年齢は人間に置き換えれば
26〜30程のようだが、考え方は若者からかけ離れている。